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フィリピン、ジャングルの向こうに

1995年

熱帯雨林のジャングル・・・雨が何日も続くと中はもうたいへん・・・


燐光群の劇作家・演出家坂手洋二氏、
新宿梁山泊の演出家、俳優金守珍氏らと一緒に初めてフィリピンに行く。
マニラの空港につくと現地メンバーが待ちうけ、
そのままバンに箱詰めで10時間近く。
バンはひたすら森や山や村々を抜け
強烈に揺れながら、交通ルールもあるのかないのかわからない
フィッリピンの田舎の国道を猛スピードで突っ走った。
「いやあ、命があってよかった」
と目的に着いたときには一気に脱力。
途中、金氏の連発する荒唐無稽のギャグにずいぶん助けられる。


途中、以前に大爆発したピナツボ火山の
灰うず高く積もるルソン島中部風景を目にする。
あちこちに被害の痕跡が残っていた。

そして夜も12時過ぎ、小さな村に着く。
そこのはずれにある建物が目的の場所。

そこにアジア10カ国の俳優が集まっていた。
『CRY OF ASIA』というアジアの多国籍俳優(10か国)
による上演プロジェクトのワークショップを行っているのだ。


で、我々は何故そこに行くのか?
それがもう一つよくわからない旅(笑)、不思議な旅でした。

この企画は「東京舞台芸術祭」で上演されるもので、
国際交流基金から、思わぬ追加予算が出ての
何とも唐突な旅となった次第。
もっとも金守珍氏は劇団員の近藤結宥花さんの陣中見舞いもあり、
またわれわれも何らかの「応援をよろしく」という
ことなんだろう・・・。

*「CRY OF ASIA」
-東京国際舞台芸術フェスティバル'95
   〜日本・フィリピン・韓国・香港・台湾・タイ公演 〜

稽古風景、真ん中右 手、近藤結宥花さん (新宿梁山泊)。まだ 20代だったんです ね。

稽古場のフロアーで坂 手洋二氏と。

同じく金守珍氏と、真 ん中は横浜でオルガナ イザーをしている人

右はタイのプラディト・プ ラサートーン。タイに行っ たときずいぶんお世話にな った。その後、シアターコ クーンでの『赤鬼』(野田 秀樹演出)に、主要俳優と して出演。現在はタイ随一 の演出家、俳優である。

稽古場として使われて いたフロアー。なかな かいい感じ。

合間を縫って、近くの ジャングルに。熱帯雨 林のジャングルとはこ ういうものだ!と認識 した体験。こんなとこ ろで日本軍は闘ったの か、と思うと奇妙な気 持ちに。人が生きてゆ けるような場所ではな かった。暑さと湿気、 数日居れば確実にマラ リヤにやられそう。

ジャングル探検隊一行・・・一休 み。汗、汗、汗・・・。

マニラ市内で。


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